ピロリ菌

ピロリ菌とは

ピロリ菌の正式名称は“ヘリコバクター・ピロリ”と言い、ヘリコとは「らせん状」という意味で、バクターとはバクテリア(細菌)、ピロリとは胃の出口で十二指腸へとつながる部分(幽門)を意味する「ピロルス」というラテン語の単語から来ています。
この菌は胃の幽門部から初めて見つかりました。大きさは2.5~4μm(マイクロメートル)で、4~7本の鞭毛(べんもう)を持ち、この鞭毛を回転させることで胃の中を移動します。胃の中には強力な胃酸があり食べたものを消毒し、食中毒を予防するという働きがあるため、胃の中に生息できる細菌はいないと考えられていました。ところが1983年、オーストラリアのロビン・ウォレン博士とバリー・マーシャル博士が胃の中にいるピロリ菌を培養することに成功し、これが胃炎・胃潰瘍の原因の一つと証明されました。この業績により2005年、2人にノーベル医学生理学賞が授与さました。

ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して、自分の周りにアルカリ性のアンモニアを作り出すことで、胃酸を中和しながら、胃の中に存在しています。

ピロリ菌の感染経路について

ピロリ菌は幼少期まで(胃液の分泌が少ない5歳頃まで)に感染すると言われています。感染経路としては井戸水もしくは親から感染すると考えられています。

日本人の場合、年齢が高い方ほどピロリ菌に感染している率が高く、60歳代以上の方の60%以上が感染していると言われています。

昔の日本では井戸水を飲むことが多かったため、感染率が高い原因となっていましたが、現在は上水道が発達しているため水からの感染は低くなっており、若い方の感染は親の唾液が原因と考えられています。

ピロリ菌が関係する疾患

ピロリ菌の感染によって胃に炎症が起こり、感染が長く続くと慢性胃炎になります。この慢性胃炎をヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と呼びます。長い期間炎症が続くと、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生が起こり、ピロリ菌に感染した患者さんの一部から胃がんが発生することがわかっています。
また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症ならびに再発はこのピロリ菌感染に関係していることもわかっており、潰瘍の患者さんのピロリ菌感染率は80~90%と非常に高い割合となっています。

また、ピロリ菌感染胃炎の状態から胃MALTリンパ腫、胃(過形成性)ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)といった病気を生じたり、胃癌の一つである女性に多いスキルス胃癌もピロリ感染胃炎から生じます。

ピロリ菌の検査について

内視鏡による検査

内視鏡による検査では、内視鏡で胃内の一部の組織を採取し、以下のいずれかによる検査を行い、感染の有無を診断します。

<培養法>

採取した胃粘膜の組織を培養し、ピロリ菌が増える否かで感染の有無を判定します。

<迅速ウレアーゼ試験>

ピロリ菌がもつウレアーゼの働きによって作られたアンモニアの有無を調べることで判定します。

<組織鏡検法>

採取した胃粘膜の組織を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の有無を判定します。

内視鏡を使用しない検査
<尿素呼気試験法>

呼気(吐き出した息)の中に含まれる二酸化炭素の量を調べ、ピロリ菌感染の有無を判定します。

<抗体測定法>

尿や血液からピロリ菌に対する抗体の有無を調べて判定します。

<糞便中抗原測定法>

糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べて判定します。

ピロリ菌の除菌療法について

ピロリ菌の除菌方法は、「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗生物質」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用します。そして、全ての治療が終了した後、4週間以上経過してから、ピロリ菌が除菌できたかどうかを尿素呼気試験法や糞便中抗原測定法で確認します。正しく薬を服用すれば、ピロリ菌の除菌は約90%の確率で成功します。
また、万が一除菌に失敗した場合は、二次除菌療法があります。

一回目の除菌療法でピロリ菌を除菌できなかった場合は、抗生剤を別のものに変えて再び除菌療法を行います。この方法で行うと、初回失敗例の90%以上が成功します。

除菌後も胃がんになる可能性はゼロではありません。
胃がんの99%はピロリ菌感染者から発生し、除菌治療によって胃がんの発生が3分の1に減少することがわかっています。

しかし除菌に成功した人も未感染者と比較すると、胃がんになる危険性は約50倍あります。早期発見のために胃カメラを定期的に行う必要があります。

当クリニックでは、日本ヘリコバクター学会が認定する「H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医」である院長が治療を行っておりますので、お気軽にご相談下さい。